導入事例

レーザースキャナーによる曲がり外板の工作精度評価システムの研究開発

レーザースキャナーによる曲がり外板の工作精度評価システムの研究開発

住友重機械マリンエンジニアリング

FARO Laser Scanner Focus3Dでの曲がり外板の測定

ヨーロッパでは古来より船を女性にたとえ、英語の代名詞では”She”を使うこともあります。その理由は諸説ありますが、船の持つ丸い曲線、優美な船体の形状は、確かに女性的に見えます。その形状を形作っているのが、「曲がり外板」と呼ばれる鋼板です。

「曲がり外板」は船の船首や船尾に多く見られる、複雑な3次元曲面を持った大きくて厚い鋼板です。船一隻に数百枚の外板を使用しますが、同じ形状のものは左右の2枚しか存在しません。1枚の鋼板をプレスや焼き入れで調整しながら曲げていきますが、曲がり具合の検証には従来「木型」が使われていました。
 

■ 日本海事協会支援の共同研究

この木型による検証をもっと精度良く迅速に行う手法として、「レーザースキャナーによる曲がり外板の工作精度評価システムの研究開発」が進められました。この研究は、東京大学、住友重機械マリンエンジニアリング、日本海事協会による共同研究体制により実施されると共に、日本海事協会の「業界要望による共同研究スキーム」による研究支援を受けて行われているものです。このたび、実際にFARO Laser Scanner Focus3D(ファローレーザースキャナー・フォーカス3D)を使って研究に参加している住友重機械マリンエンジニアリング株式会社(神奈川県横須賀市:以下、住友重機械ME)にインタビューする機会を得ました。
 

■ 曲がり外板評価の課題

木型による曲がり外板の評価は長年精度が問題視されていました。外板の仕上がりは、プレスと焼き曲げで行うぎょう鉄(鋼板の曲げ加工のこと)作業員の経験に頼るところが大きいため、属人的な評価を行わざるを得ず、仕上がりにばらつきが生じています。また、精度評価が木型を当てた部分のみで全体が評価されず、木型を当てない部分の曲がりが内部構造部材と合わないことがありました。その場合はもう一度やり直しになりますが、加工のしにくさによっては、修正作業に長い時間がかかることもありました。

木型

また、木型の製作には多くの費用と納期がかかります。船の形状ごとに木型を製作するため、数が多くなり保管場所や管理の課題もありました。

(写真左)木型による外板の検証
 

■ 木型の使用に関する問題点

1. サイズの大きな木型を利用した際の作業性の悪さ
2. 目視確認、加工法案の設計などが属人的であり、ぎょう鉄作業員の経験への過度な依存
3. 仕上がりのばらつき、後工程での手直しの発生
4. 精度評価は木型を当てた部分のみの局所的な評価
5. 木型製作のコスト、納期、メンテナンスの負担

そこで、東京大学、住友重機械マリンエンジニアリング、日本海事協会との共同で「レーザースキャナーによる曲がり外板の工作精度評価システムの研究開発」を行うことになったのです。

この研究では、FARO Focus3Dを用いて得られた曲がり外板の3次元計測形状とCADから得られる形状データを比較し、熟練者でも加工や検査が困難な曲がり外板の工作品質の定量評価を可能にする、曲がり外板の工作精度評価システムを開発しました。システム開発にはププルピット(ウニークス社)の点群処理機能を利用しました。また、この研究を進める中で、曲がり外板の工作精度の可視化、工場におけるレーザースキャナー運用面の課題の解決、計測データの活用検討が行われました。

外板と効果のグラフ
 

■ 精度評価のフロー

1. 設計データと三次元計測データの取得
2. 計測データの前処理
3.設計データと計測データの位置合わせと工作精度の評価計算
4.カラーマップによる工作精度の可視化

住友重機械MEでは、この曲がり外板の精度評価システムを使うことによって、外板の精度の向上、作業効率の向上を目指しています。製造本部、工作部、計画グループの菅原氏は「従来は技能者のノウハウや知見によって型を使いながら最終形状に近付けていきます。それを、経験やノウハウの少ない者でも短い時間で目的形状に仕上げるようにするのが、このプロジェクトの狙いです」と説明します。
 

■ 3Dレーザースキャナーによる測定と効果

既にレーザースキャナーを利用した曲がり外板の精度評価の仕組みは実現されており、現場での適用率も高まっています。 現場での適用率が上がるにつれて修正作業の工数は少なくなってきており、レーザースキャナーによる検査の効果は出はじめています。「FAROのレーザースキャナーは、スキャン範囲を絞り、板の大きさによって解像度を変えるなどし、瞬時に対象の外板をスキャンできます。さらにカラーマッピング表示では、データ上でどこの曲がりが足りないかという点が分かるのは便利です。今後の課題としては、具体的にどこをどうすればいいのか、というところで、作業に結び付けていくのが課題です」と菅原氏は言います。今後もこの手法を取り入れながら試験研究を続け、いずれは木型を利用しないで外板の曲げ加工に対応したいというのが目標です。
 

■ 共同研究

東京大学
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
一般財団法人日本海事協会
 

■ 取材先

住友重機械マリンエンジニアリング株式会社

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