導入事例

宇宙の誕生の謎に迫る 高エネルギー加速器研究機構

宇宙の誕生の謎に迫る 高エネルギー加速器研究機構

宇宙は何からできていて、いつ、どうやって生まれたのか、誰でも一度は不思議に思ったことがあるでしょう。現在の説では、宇宙は137億年前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発で始まったと言われています。この「ビッグバン」を人工的に小さい規模で実験し、宇宙の起源、物質や生命の根源を探求している研究機関が、茨城県つくば市にあります。

Laser Tracker at KEK

(上写真)FARO Vantageなら過酷な使用条件下でも安心して使用

高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)は、さまざまな加速器を使い、素粒子のいろいろな性質を調べて、宇宙の起源、物質や生命の根源を探求している研究所です。その中の一つSuperKEKB(スーパーケックビー)と呼ばれる周長3kmもある円形の高エネルギー加速器は、垂直方向の大きさが数十ナノメートルの電子と陽電子の集団(バンチ)を衝突させる実験を行うための装置です。このような極小サイズのバンチを正確に衝突させるには、加速器のコンポーネントの精密なアライメントが不可欠です。KEKでは加速器コンポーネントの一つである電磁石の設置に、FARO Laser Trackerを使用しています。
 

FARO Laser Tracker の導入の経緯

KEKでは、FARO導入前は他社のトラッカーを使用していましたが、その老朽化に伴い、また大きくて移動が大変だったこともあって、よりコンパクトなサイズのFARO Laser Tracker IONを導入しました。IONは測定中にSMR(ターゲット)がレーザーを見失っても、ホームポジションまで戻らずにレーザーを再取得することができます。長いトンネルの中では、その機能が大変役に立ちます。さらに、2013年にはFARO Laser Tracker Vantageを導入しました。FARO Vantageは80mまでの長距離測定が可能で、IP52規格の防塵・防水性を備え、SMRを迅速に検知するカメラ機能を搭載した最新モデルです。現在、2010年から建設が始まった3代目の加速器、SuperKEKBの建設に使用されています。

FARO Vantageは地下11mのトンネル内で使われています。「トンネル内は工場などに比べると埃は少ないかも知れませんが、一旦測定作業を始めると長い時には2ヶ月以上もレーザートラッカーの電源を入れたまま、しかも周長3kmものトンネル内をレーザートラッカーを移動しながら電磁石の測定や設置作業を行う、というある意味特殊な使い方をします。このような条件下で使用するFARO Vantageには高精度はもちろん、動作の安定性が求められます。また限られた工期内で作業を滞り無く終了させるためには、万一トラブルが発生した場合のFAROの迅速な技術サポートが非常に重要になります。これらの要求を満たしてくれるもの、とFaro Vantageには期待しています」と加速器研究施設、加速器第四研究系所属の増澤教授は導入の理由を述べています。
 

最高の精度が必要な電磁石のアライメント

電磁石 at KEK

(左写真)電磁石の精密な3次元測定とアライメントが欠かせない
(右写真)FARO Vantageを使ってコンポーネントのアライメントを調整。手前のシルバーのパイプは、電磁石に設置されたチェンバー

周長3kmのトンネル内に2千個以上の電磁石を設置していくのですが、この電磁石は電子と陽電子のビームを決められた軌道に沿って回すための重要なコンポーネントです。ビームは大きさが数十ナノメートル(100万分の数十ミリメートル)で、電磁石にはさまれたチェンバー(パイプ)の中を高速で周回します。その周回を正確に行うためには電磁石の精密な3次元的測定とアライメントが不可欠です。

電磁石のアライメントは設計図に従って一つずつ行います。装置の上部にSMRをセットし、その3次元座標をレーザートラッカーが読み取ります。その座標をもとに、装置についているボルトを締めたり緩めたりすることによって、電磁石の位置を調整します。一つが終わったら次の装置へ移動し、同じことを繰り返します。これを2千個以上の電磁石に対して行います。

Belle II測定器

(左写真)ビームの衝突を計測するBelle II測定器。前身となるBelle測定器は、ノーベル物理学賞受賞に貢献
(右写真)FARO Laser Tracker IONを使って、床の水平度を測定

そのほかの利用方法として、床の水平レベルを見る、という使用方法もありました。チェンバー内を周回したビームが衝突する場所にはBelle II測定器が設置され、衝突時のデータを収集、解析します。このBelle II測定器へ最終的にビームを導いていく機器の載る床の水平度もとても重要で、その水平度を測定するためレーザートラッカーを使用しました。

他にもリニアコライダーという次世代の加速器の試験開発において、装置のアライメント調整にレーザートラッカーを2台使用、KEKでは全部で6台のFARO Laser Trackerを使用して、運用に向けて建設を進めています。
 

宇宙の謎の解明に向けて

加速器での実験が運用され研究が進むと、「宇宙はどうやってできたのか」が明らかになる日が来るかもしれません。「粒子・反粒子の対称性の破れ」や「反物質が消えた謎」など、解明されていない事象はたくさんありますので、多くの実験が行われることになるでしょう。このような壮大な研究にFAROの3次元測定器が役立っていることはたいへん光栄なことです。
 

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、高エネルギー加速器を使い、素粒子のいろいろな性質を調べて、宇宙の起源、物質や生命の根源を探求している研究所です。 大学共同利用機関法人として、国内外の研究者に共同利用の場を提供するとともに、世界の加速器科学の研究拠点として、国際共同研究を積極的に推進しています。

〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1
URL: http://www.kek.jp/ja/

 
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