導入事例

名古屋の地下街をFARO Laser Scanner Focus3Dで計測 地下と地上をつなぐ3D地図を作成

名古屋の地下街をFARO Laser Scanner Focus<sup>3D</sup>で計測 地下と地上をつなぐ3D地図を作成

地下街から地上を見上げた3D 画像にビックリ

愛知県豊田市にある愛知工業大学のキャンパスにある中村栄治教授の研究室を訪ねると、パソコンの画面に懐かしい地下街の風景が広がっていました。一見、写真のようですが実はJR 名古屋駅の東側に広がるエスカ地下街の内部を、FARO Laser Scanner Focus3Dで計測した色付きの点群データなのです。

パソコン上で視点や見る角度を変えていくと、地下街から地上にある家電量販店の建物が見えたり、駅前広場に埋まっている地下街の形が見えたりします。「Focus3D での計測に協力してくれたエスカ地下街の担当者も、地下街と地上がつながった点群データを見て、『まるでアリの巣のようだ』驚いていました」と中村教授は語ります。

愛知工業大学 データ1

愛知工業大学 データ2

JR名古屋駅西側に広がる駅前広場(上)。点群データで見ると地下街と地上がアリの巣のようにつながって見える。

17 カ所の出入り口周辺を深夜に計測

名古屋市には数多くの地下街があります。全体の規模では東京や大阪に続きますが、地下街の数では名古屋は日本一です。しかし、リニア新幹線の工事などで今後、取り壊しが予定されているものも多くあります。中村教授は戦後の商業遺跡とも言える名古屋の地下街を、何とか点群データで記録しておけないかと考えました。

この前例のない取り組みを実現するため、中村教授はエスカ地下街の成澤守氏に協力を求めました。数多くの名店を抱える地下街側も、地上に向かいがちな人々の関心が、少しでも地下街に集まるならばと協力してくれることになったのです。

また、点群ビューワーソフト「Geoverse」を販売・SDK開発・データ処理をする(株)きもとも、このプロジェクトに無償協力を行いました。愛知工業大学、エスカ地下街、(株)きもとによる実験的プロジェクトがついにスタートしました。

そこからが大変な作業でした。Focus3D で計測できるのは人通りが絶えた深夜に限られます。共同研究者である山本義幸准教授と5 名の卒研生が中心となり、エスカ地下街にある17 カ所の出入り口周辺を1 晩に1 カ所ずつ、計測していきました。夜間は防火シャッターが閉まるので、計測する範囲にあたるエリアは、その時だけ特別にシャッターを開けてもらいました。

「地下街全体のほか、出入り口付近では地上部の街並み計測も行いました。全部の点群データを集めると、データ容量は0.5TBにもなりました」と中村教授は説明します。計測した点群データはFocus3D に付属しているFARO の点群処理ソフト「SCENE」でターゲットを介して位置合わせを行い、地上から地下街全体までを一つの点群データにまとめました。

「これだけ大きな点群データになると、パソコンに読み込んで見るのもひと苦労です。その点、(株)きもとの点群ビューワー『Geoverse』はご覧のようにストレスなく点群を見られます」と中村教授はパソコンを操作しなから、地上から地下まで自由自在に点群内をウオークスルーしてみせました。

愛知工業大学 データ3

複数のデータを結合するためのターゲットが置かれたエスカ地下街の点群データ。

愛知工業大学 4Kプロジェクタ

学内の視聴覚室にある4Kプロジェクターで上映したエスカ地下街の点群データは臨場感抜群。
 

多目的に活用できる点群データ

地下街の点群データに合わせて、上水道や下水道管、マンホールなども3Dモデルとして作成しました。その結果、地下街の周辺地下には、日ごろ目にすることができないさまざまなライフライン施設が埋設され、都市の生活を支えていることが手に取るようにわかるようになりました。

「はじめ、エスカ地下街にFocus3Dでの計測を打診したとき、点群データで内装のデザインや催し物の装飾などの検討ができますよと提案しました。しかし、実際に点群を計測してみると、地上と地下の位置関係がわかるとか、地下から地上までの断面図ができるとか、意外な面白さがあることがわかりました」と中村教授は説明します。

こうして得た点群データは、地下街のプロモーションにも生かせるだけでなく、電気やガス、上下水道、通信網など、文字通り“縁の下の力持ち”として社会生活を支えているライフラインの役割や存在も人々に認識してもらえるという効果もあります。また、Focus3D は実寸のデータも保持していますので、3D データを使って効率よく工事計画が立てられるなどのメリットもあります。

「点群データはWEB サイトで広く一般に公開することができるのも強みです。今後、点群データのノイズを除去し、WEB サイトでエスカ地下街を一般の人にいろいろな角度から見てもらい、興味をもったら実際に来てもらうという地下街のPR もできるでしょう」(中村教授)。

一般にはまだなじみのない3Dレーザースキャナーや点群データですが、計測された地下街の点群データを見たエスカの成澤氏からは「今度は店の中まで計測してほしい」という要望も出てきています。

「まずは世の中の人に、3Dレーザースキャナーで『こんなことができる』ということを実例で示すことが重要です。そして理解が進んでくれば、さまざまな使い方、こちらが考えもしなかった利用方法が提示されるかもしれません。アメリカではすでに、都市のインフラ設備の3D 台帳の整備や、点群データを使った都市計画のパブリックコメントなども始まっています。日本でも同じようなことができたら素晴らしいのでは」と、中村教授は近い将来を展望しています。

愛知工業大学 データ5

地下街の周辺に埋設されたライフラインとの位置関係も一目瞭然。

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地下街と地上をつなぐ3Dイメージ。

愛知工業大学 データ7

エスカ地下街の点群を地中深くから見上げたシーン。地中の構造物をこうした見せ方ができるのも、点群ならでは。
 

Focus3D が建築・土木との出会いだった

中村教授は2011 年にFocus3D を導入するまで、昆虫の複眼の研究などを行っていました。その研究対象が建築や土木に広がっていったのは、Focus3D を導入したことがきっかけでした。

「人間の顔を3Dスキャンする研究を始めたとき、Focus3D も導入しました。Focus3D を選んだのは、やはり価格が他の機種に比べて大幅に安かったからです。Focus3D の導入をきっかけに、点群データを計測する対象物が大学内の建物や道路まで、どんどん広がっていきました。エスカ地下街の点群計測はその延長上にあったのです」(中村教授)。

中村教授は大学キャンパス全体をFocus3D や「MMS」と呼ばれる車載型の3Dスキャナーで計測し、10TB ほどの点群データを計測しました。「約600 カ所のマンホールや地下に埋設されている上下水道、電気、ガス、雨水の管路などを図面から3D モデル化して、大学内の施設の3D 台帳を作成中です。小都市のモデルとして、事例公開や学会での発表などを計画しています」と中村教授は締めくくりました。

愛知工業大学 データ8

愛知工業大学のキャンパス全体の点群データ。

記事執筆:
株式会社イエイリ・ラボ代表
家入 龍太氏

愛知工業大学について

1959 年に開学。工学部と経営学部、情報科学部、そして大学院をもち、「創造と人間性」を教育のモットーとして掲げます。愛知県豊田市の八草キャンパスのほか、名古屋市内に本山、自由ヶ丘の2 キャンパスがあり、学生数は約6100 人(2014 年5 月現在)。

〒470-0392 愛知県豊田市 八草町八千草1247
Tel: 0565-48-8121
URL: http://www.ait.ac.jp/

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