導入事例

レーザースキャンによる 最先端の古墳研究、3Dデータの活用が考古学を大きく変える

レーザースキャンによる 最先端の古墳研究、3Dデータの活用が考古学を大きく変える

2014年11月26日付の山陽新聞に『前方後方墳を発見』という記事が掲載されました。岡山県総社市にある「茶臼嶽古墳」と名付けられたこの古墳は、墳長が65mの前方後方墳で、「古墳ではないか」との住民からの連絡があり調査したところ、県内屈指の規模の前方後方墳であることが確認されました。

今回この古墳を調査したのは岡山大学考古学研究室の新納(にいろ)泉教授で、レーザースキャナーで3次元測量を行い、3Dデータを活用して詳細な等高線を作成しました。3次元測量は岡山県岡山市の有限会社関施工管理事務所の関氏の協力でFARO Laser Scanner Focus3Dを使って行い、大規模点群活用ソフトウェア「InfiPoints」を利用して処理したデータを新納教授に収めました。

古墳調査

小迫大塚古墳での3次元測量の様子。一番左が岡山大学の新納教授、その隣が関氏。(岡山大学考古学研究室提供)
 

伝統的な手法

古墳の等高線地図を作成する際の従来の方法は、平板測量と呼ばれる手法で、等高線上の1点を目視し図面に記述していく方法です。現在でも多くの古墳調査で使われていますが、この手法の問題点は、時間がかかることと等高線の間隔が広いということです。1点1点を拾って記述していくために、茶臼嶽古墳くらいの大きさでも1か月近くかかる場合があります。また完成した等高線は狭くても20センチ間隔くらいで作成され、線と線との間の状態がわからないため事実が見落とされる可能性がありました。
 

レーザースキャンによる3次元測量が示す古墳の最先端技術

初めて関氏が新納教授とともに測量したのは岡山県の津倉古墳で、このときはトータルステーションによる等高線測量と平行してレーザースキャンによる3次元測量を行いました。3次元測量を初めて行ってわかったことは、平板測量などの従来の方法ではわからない部分が見えてきたことでした。スキャンをすると何センチ間隔でも等高線が作成可能で、かなり細かく古墳の傾斜を見ることができます。すると古墳はたいへん正確に段を付けて作られていることがわかりました。25センチ間隔の等高線では、段と段の変換点が隠れてしまってわからなかったのですが、スキャンをすることでビジュアル的にそれが確認できる結果となり、古墳研究における3次元測量の有効性を示すことができました。

新納先生の研究によれば、古墳は3段で作られており、中国由来の尺度が使われています。傾斜も崩れないぎりぎりの角度で作られており、円部分と方形部分では意図的に傾斜を変えていることもわかりました。新納教授は「詳細に分析することで、どのように古墳が作られているか、その設計原理がわかってきました。今までの古墳の設計原理は平面だけで考えていましたが、スキャンすることでようやく3次元(平面と立面)で語れるようになりました」と言います。

このように分析が進んでくると、盛土の作り方が、現在の工事の方法とほぼ同じだということがわかりました。新納教授は「設計図はなかったので記憶していたと思います。つまり複雑だけど記憶できる原理で作られているのです。今でも古墳と同じ傾斜角の割合で盛土を作りますが、恐るべき古墳時代人の知恵ですね」とその技術の高さに驚いています。

古墳データ
古墳データ2
古墳等高線

(上) 茶臼嶽古墳のスキャンデータから「InfiPoints」を使って木々を削除したデータ。
(中) 関氏が20センチ間隔くらいの等高線図を作成。
(下) 完成した等高線。後方部分に盗掘跡と掘った土が流れた様子がはっきりと見られる。
 

3D データの今後の活用

新納教授とともに5か所の古墳をスキャンした関氏はFocus3Dの利点について「Focus3Dはコンパクトでどこにでも持ち運べ、どこにでも設置が可能な点が優れています。自由に設置できるということはそれだけ測量時間が短くてすむということです。遺跡を壊す必要があったとしても、その前にFocus3Dでスキャンするだけでデジタル化して保存することが可能です。新納教授はその点で最先端の研究を行っています」と述べ、続けて「大型構造物も短時間でスキャンできるので、最近ではダムなどの大規模公共設備のスキャンも行っています。公共座標を取り入れることができれば、測量データとしてたいへん価値のあるものとなります」と公共測量に積極的にFocus3Dを利用したい考えを述べています。

ダム測量

徳島県那賀川中流の安倉口ダム。Focus3Dは小型で軽量のため、足場が少々悪いところでも設置が簡単。

新納教授は「典型的な古墳の設計原理がわかってきたので、これから小さい古墳に応用したり、歴史的にどういうふうに形成されてきたかを読み取っていきたい。近々、有名な古墳を解析した成果を発表しますので、理解が一気に広がるのではと期待しています。古墳研究が3Dデータを活用することで大きく進んでいくと思います」と述べ、今後、関氏の協力を得て出土品のデジタル化に着手したり、拓本を取るだけで2次元だった瓦などの模様の研究を立体的な情報で研究することもやってみたい、と結びました。

古墳データ

3Dデータを活用して作成した鳥瞰図。
 

岡山大学 考古学研究室について

学生・院生25人ほどと3名の教員で構成されています。考古資料展示室には岡山県内をはじめとして各地から出土した資料が展示され、多くの文献や学生用のコンピュータが身近にあるという環境で研究を行っています。新納教授は日本の古墳時代を中心に遺物・遺構に即した研究をベースとし、コンピュータ考古学の手法を用いて社会の動態や特性の解明をめざしています。
〒700-8530 岡山市北区津島中3-1-1
Tel: 086-252-1111 Fax: 086-251-7350
岡山大学 考古学研究室
 

有限会社関施工管理事務所について

公共測量を行う建築事務所。2013年にFocus3Dを導入、公共座標を取り入れるためのターゲットを独自で開発するなど測量分野に3Dデータを積極的に取り入れています。道路やダムなどの公共測量が主な業務ですが、2014年から新納教授と古墳をスキャン、InfiPointsなどのソフトウェアを駆使し3Dデータ処理などを行っています。
〒700-0904 岡山県岡山市北区柳町2 丁目2-14
Tel: 086-223-5715

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