導入事例

バラスト水処理装置の設置に向けて、動き始める船舶業界 ファローレーザースキャナーで測定作業を大幅に短縮

バラスト水処理装置の設置に向けて、動き始める船舶業界 ファローレーザースキャナーで測定作業を大幅に短縮

FARO Laser Scanner Focus3D による機関室のスキャニング
 

■ バラスト水管理条約の発効まであと少し

海洋汚染、大気汚染などの環境問題は多くの場合、工場廃水やばい煙などが原因となっていますが、船舶から排出される海水もまた、環境問題の原因となり得ることをご存知ですか?

大型の船舶には「バラスト水」といって、荷を積む前、もしくは荷を降ろした後にその海域で取り込まれる海水が積載されています。船荷を降ろした後には船が軽くなり喫水が下がるので、船体が浮きすぎないように海水でバランスを取っています。取り込まれた海水は船に乗って何千キロも旅をし、全く異なった環境下に排出されます。

一概に「海水」と言っても、中にはプランクトンや小さな生物がたくさん含まれています。そういった水生生物が海水と一緒に運ばれ、放水された場所で繁殖をすると、海洋環境に大きな影響を及ぼすことになりかねません。実際、アメリカ、オーストラリアをはじめ世界の多くの国で、このバラスト水の移動が大きな問題となっています。

こういった声が大きくなってきたことを受け、IMO(国際海事機関)は、2004年に「船舶のバラスト水および沈殿物の管制および管理のための国際条約(バラスト水管理条約)」を採択しました。2012年1月現在、条約発効条件の30カ国批准を満たし、35%の商船船腹量まであと少しとなりました。

条約が発効されれば、国際的に航行する船舶はバラスト水処理装置を搭載しなければなりません。条約発効に伴い、今後5年間で3万隻以上の既存船がバラスト水処理装置の設置を義務付けられることになります。
 

■ 日本海事協会支援の共同研究

このバラスト水処理装置の設置にあたり、3Dレーザースキャナーを使った新しい設計手法が、日本海事協会支援による共同研究「3次元レーザースキャナー有効利用研究会」において検討されています。研究メンバーは(財)日本海事協会、日本郵船(株)、(株)商船三井、川崎汽船(株)、(株)MTI、佐世保重工業(株)、(株)三和ドック、東京大学、(株)SEA創研の8社です。今回は、いち早くファロー3Dレーザースキャナーを導入し、来たるべきバラスト水処理装置の大量搭載に向けて準備を進めている船舶修繕専業の株式会社三和ドック(以下、三和ドック:広島県尾道市因島)にお話を伺いました。
 

■ 処理装置設計作業の膨大な労力

バラスト水処理装置は一般的には機関室かポンプルームに搭載しますが、既存の船の場合、配管や設備が入り組んだ機関室への新しい大型装置の設置は、想像する以上に時間と手間のかかる仕事です。

従来の方法だと、現状の現場の様子を再現するために手作業で寸法を計測して図面に起こし、これをもとに改造図を設計しなければなりません。このためには何度も検船して現場を確認しなければなりませんし、莫大な設計時間が必要となります。また手作業による寸法計測には限界があり、ちょっとした見落としが大きな設計ミスにつながる可能性も高くなります。
 

■ 3Dレーザースキャナーによる測定と効果

そこで三和ドックは、FARO Laser Scanner Focus3Dを使って機関室を測定する方法を導入しました。フォーカス3Dは重さ5Kg、幅24センチ、奥行き10センチ、高さ20センチという小型の3Dレーザースキャナーで、毎秒約百万回ものレーザーを照射し、デジタルイメージを生成します。

フォーカス3Dを使えば、既存の配管や設備などの構造を何日もかけてメジャーで計測していたものが、数時間から1日程度の測定作業で終わります。さらに3Dの点群データを使って3D CADデータを作成し、直接3次元の設計図を制作することが可能です。

また、カラーカメラが内蔵されているので、色の違う配管などもそのままのイメージに取り込むことができ、入り組んだ配管でも一目で状態がわかります。三和ドックの松崎氏は「フォーカス3Dは小型で軽量なので、狭い機関室のどこでも設置ができ、足場の悪い入り組んだところでも測定することができてたいへん便利です。」とフォーカス3Dのポータブル性を高く評価しています。
 

■ 3D CADでの詳細設計と装置搭載

フォーカス3Dによって計測された点群データは、点群処理ソフトによる変換作業を経て、対象区画をあるがままに復元した再現3Dモデルとなります。このモデルの中で新しく搭載するバラスト水処理装置を配置し、配管の敷設経路を検討すれば、既存の構造物や付属品に干渉することなく、最適な設計を行うことができます。また正確な計測により作成された3Dモデル内では、細部にわたって設計することも可能であるため、事前準備に必要な一品図等の生産資料も作成できます。

さらに出来上がった設計済3Dモデルは、改造後のイメージがつかみやすく、2次元では見落としがちな問題点の発見も容易になります。

1. レーザースキャナー・フォーカス3Dで取得した機関室の点群データ

2. 点群データをもとに3D CADにて機関室の3Dモデルを再現

3. 再現した3Dモデルにバラスト水処理装置を設計
 

■ 3D スキャナー利用による効率化の可能性

3Dスキャナーを利用することで正確な船内の寸法が短時間で取得できます。

手作業での計測なら何日も訪船して計測しなければならず、必要な時間と労力が装置設置のコストに反映されますが、フォーカス3Dが1日で測定作業を終えれば、その分コストは安く済みます。また、事前に計測して設計しておけば、大多数の製作物を完成させることができるため、すぐに船に取り付けることができ、工期も短縮できます。
 

■ 最後に

バラスト水管理条約は近いうちに発効すると予想されており、発効すれば処理装置を設置する要望が殺到して、対応しきれない可能性も出てきます。大きな船会社の中には先を見越して搭載を考えているところもあるようですが、多くの船を短期間に処理していこうとすると、少しでも工数が少なく時間がかからない、そして間違いなく装置が搭載できる方法を探していくことは必須事項です。そのために、膨大な量のデータを短時間で取得し、3次元形状を再現できるレーザースキャナーは、たいへん有効な手段なのです。日本の中核船社を中心におこなわれている「3次元レーザースキャナー有効利用研究会」の取組みは、今後船舶業界が迫られる大問題を、効率的に解決する非常に有望な設計手法となるのではないでしょうか。
 

■ 取材先:株式会社三和ドック

三和ドックは各種船舶の修繕及び改造を手がける国内有数の修繕ドックです。中小型船に特化して修繕を行いますが、一般的な貨物船から特殊な船まで、船舶の種類に関わらず、幅広く対応出来る技術力のある企業です。

フォーカス3Dを導入した三和ドックは、海洋環境を守るバラスト水処理装置の設置という大きな使命を背負って、これからも、世界の中でも技術力が抜きんでている日本の造船業界の一翼を担っていきます。

本社 : 〒722-2193 広島県尾道市因島重井町600番地
TEL : 0845-26-1111(代) / FAX : 0845-26-1000(代)
URL : http://www.sanwadock.co.jp

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