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導入事例

宇宙の観測研究に欠かせない 高い組立精度を実現するFARO Laser Tracker

宇宙の観測研究に欠かせない 高い組立精度を実現するFARO Laser Tracker

太陽系の惑星には、明けの明星、宵の明星の異名を持つ金星や、地球に近く生命の可能性が期待されている火星など、8個(*)の惑星があります。その中で最も質量の大きい木星は、時期によってはマイナス2等級ほどのとても明るい星で、大きな4つのガリレオ衛星を含む67個(*)の衛星を持ち、紀元前から世界の各地で観測されてきました。(*2016年7月時点)

2014月6月、東京大学は、チリのアタカマ砂漠に設置したminiTAOという天体望遠鏡で、そのガリレオ衛星の一つ「イオ」のダイダロス火山の大規模な火山活動を捕らえました。口径1mという比較的小さな望遠鏡での観測の成果は大きなニュースとなり、以後の惑星観測研究において、重要なものとなりました。

その天体望遠鏡を製作、設置したのは、京都市に拠点を置く、株式会社西村製作所(以下、西村製作所)です。主に大学や研究機関向けの天体望遠鏡や天体ドーム、特殊観測機器を設計、開発、製造から設置まで行っています。近年の人工衛星やスペースデブリなど宇宙への関心の高まりを受けて、国内だけでなく海外からも大型望遠鏡や天体ドームの注文が相次いでいます。

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チリのアタカマ砂漠に設置されている東京大学のminiTAO望遠鏡。
 

高い組立精度を実現するために不可欠な高精度での測定

大型の望遠鏡はコンピューターで制御されており、駆動は滑らかに行われなければなりません。また通常は、空気が澄んでいて湿度が低い場所が観測に適しているため、砂漠や高地などへの設置が多くなります。そのため、姿勢の変化のみならず、昼夜の寒暖差や風などの気候変動に長時間さらされても正確な観測が行われるよう、高い精度が求められます。

西村製作所では1926年に日本で初めて国産の望遠鏡を作ってから約90年、日本、そして海外のさまざまな研究機関からの要請を受け、望遠鏡や観測機器の設計製造から世界各地で設置をしてきました。最近では、サウジアラビアのキングサウード大学のために天体望遠鏡を製造、設置しています。望遠鏡設置に関して、製造統括部長の関敬之氏は「望遠鏡は外気に触れ、過酷な環境下で使用するため、環境変化の度合いを考えて製作しています。また、それをいかに精度よく組み立てるかが重要で、そのためにもっとも大切なことは測定です」と述べています。
 

広範囲測定、過酷な条件下での測定が可能なポータブル3次元測定器

天体望遠鏡は、いったん西村製作所にて製作し組み立て、その後ばらばらにして運搬し、設置現場にて再度組み立てます。鏡の直径は大きいもので数m、望遠鏡全体の重さは20トン以上にもなります。そのため、各部品も大型になり、台座の直径は3~12mにもなります。そのような大型部品の測定は、FAROの3次元測定器を導入する以前は水準器やダイヤルゲージを使用して工夫して行っていました。以前の測定に関して関氏は「望遠鏡組立においては、例えば台座の旋回するレールの真円度や平面度、2軸ある駆動軸の直行度などを測定します。以前の手法ではそのような部分の測定は、場所によって2日あるいは1~2週間くらい時間がかかっていました」と説明して います。

西村製作所では2008年に、名古屋大学が所有していたFARO Laser Tracker IONを借りて大型部品の測定を始めました。その後、測定要件が増えて借りるだけでは足りなくなったことと、自社で精度を管理した測定器を使 いたいという要望から、2015年にはよりコンパクトで携帯性が高く、半径80mまで測定可能なレーザートラッカ ーの最新モデル、FARO Vantageを導入することとなりました。関氏によれば、レーザートラッカーを使うこと で、2日かかっていた測定が半日に、1~2週間かかっていた測定では2日くらいに短縮でき、簡単に精度よく測定 することができるようになったとのことです。さらに測定できなかった部分が測定できるようになりました。「鏡筒 トラス構造などの自重変形は、以前は測定できませんでした。望遠鏡ですので動いて重力方向が変わりますが、 その時の変位量などが測定できるようになりました。また、望遠鏡の組立は±20μの精度で行いますから、レー ザートラッカーを導入することによって、精度よく簡単にしかも短時間で測定できるようになりました」と導入の 効果についてこのように述べています。

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現在製作中の望遠鏡を測定するFARO Vantage。
 

また、海外での組立には今後自社のVantageを持参する予定です。近々組立を予定しているのは、チリのアタカマ砂漠でのTAO望遠鏡の設置プロジェクトです。これはminiTAOでの現地での試用を経て、東京大学の観測用に設置するもので、口径が6.5mもある大型の天体望遠鏡です。アタカマ砂漠は5600mの高地にあり、夏の日中は5~10℃、冬は-20℃にもなります。関氏は「このような環境でも望遠鏡が問題なく使えることがわかり、今、さらに大型の望遠鏡を製作中です。5600mという標高でも使用できる機器は、Vantage以外にありません。将来は南極へも持って行けたらと思っています」と、Vantageの携帯性の高さと過酷な環境下でも使用可能な耐久性 について述べています。

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TAO望遠鏡のベースの測定。外周部分は直径12mもあり、 上面の偏差は0.05mm。
 

これからの望遠鏡製作

西村製作所では現在、JAXAからの注文を受けて60㎝の望遠鏡を製作中です。長野県に設置されるこの望遠鏡は、スペースデブリの探索と人工衛星との光通信を行うことができる機器を備えています。フレームの真円度やレンズの取り付け個所の軌跡の測定を工場で行い、完成後長野県へ設置します。今後はもっと大きな望遠鏡を必要 とする機関のニーズに応えるため、工場を移転する予定です。

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JAXAから依頼された望遠鏡のフレームの真円度を Laser Trackerで測定する大谷氏。
 

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上海天文台のスキャナの測定。古い星の写真から星の座標を読 み取るスキャナは、高い精度が求められ、スキャナの軌道を計 測するためにLaser Trackerが重要な役割を果たしました。
 

今後の取り組みとして、望遠鏡の経年変化が気になると関氏は述べています。「時間がたつと望遠鏡は姿勢が変化し、元の位置からずれてきます。今まではその変化の量をCCDカメラなどを使用してデータ取得し、解析を行っていましたが、今後はVantageを使って、その変位を数値化できるのではと期待しています。メンテナンス時に測定を行えば、1年後、2年後と経年変化を追跡できますし、そのデータを蓄積し、今までの方法と併用して活用していくことも可能になります。2種類の方法で評価できることに意義があると考えています。」それを受けて、光学機器課の大谷一人氏は「望遠鏡に限らず、宇宙産業全般に関わることができたら素晴らしいですね」と、衛星通信が 増えていく展望に向けてさらに大きな世界への飛躍を語ってくれました。
 

株式会社西村製作所について

学術・研究機関用の天体観測用望遠鏡及び観測装置、天体観測用ドー ム、スライディングルーフ、太陽望遠鏡、その他大型特殊光学機器の設計、製作、販売、保守を行っています。戦後に製造された西村製作所製の望遠鏡は今では高値で取引されるなど、常に国内の第一線で望遠鏡製作に携わってきました。近年では、台湾、中国、サウジアラビ アなど、国内のみならず海外との取引も相次いでいます。

〒601-8115 京都府京都市南区上鳥羽尻切町10
Tel: 075-691-9589 Fax: 075-672-1338
http://www.nishimura-opt.co.jp/

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